折り鶴に込められた祈り

アメリカで、東日本大震災の被災地に向けて、千羽鶴を折る動きが広がっているそうです。日経ビジネスの今週号(4.11号)では、次のように書いています。

米国人は、なぜ鶴を折るのか。

「復興への祈り」「平和祈念」「恩返し」・・・・ それぞれの想いと、日米の歴史が複雑に織り込まれている。人の数だけ答えがあると言ってもいい。

だからそこ、全米に折り鶴が広がっているのではないか。ニューヨーク、ボストン、ロサンゼルス、サンフランシスコなどの大都市だけではない。小さな町でも、日本の被災者に向けて「折り鶴」を送る計画が進んでいる。

この動きを義援金につなげる動きもある。非営利団体、DoSomething-orgが企画した「日本に折り鶴を(Paper Cranes for Japan)」キャンペーンでは1羽を折ると協賛基金などから2ドルが寄付される仕組みを作った。全米の学校に2000のクラブを組織して、その子供たちを中心に「折り鶴」を開始した。目標は10万羽を集めて、20万ドルの義援金を送ることだ。「お金を出すことができない子供たちでも、鶴を折ることで被災者支援に参加できる」

スタッフのベッツィー・ファストは、活動の意義をそう語った。だが、この団体も義援金づくりだけが目的ではない。団体のトップは、広島を訪問して、貞子の銅像と千羽鶴を見て強い衝撃を受けた経験がある。「義援金が助けになることは間違いない。でも、お金だけではなく、精神的なつながりが重要だと思っている」

サンフランシスコのイベントを組織した地元の食品販売店を経営するサミン・ノスラットは、そう強調する。日本語は全く理解できない。でも、小学生の時に知った「サダコ」を覚えていた。だから、募金活動だけではなく、鶴を折ることを決めた。

サダコ? 私は、知りませんでした。
原爆被害者である佐々木禎子さんは、広島平和記念公園にある原爆の子の像のモデルだそうです。

特定非営利活動法人SADAKO LEGACYによると、
広島市内の自宅 で2歳のとき被爆した佐々木禎子さんは、発病するまでは運動神経抜群で将来の夢は「中学校の体育の先生」になることだったそうです。しかし、小学6年生のとき亜急性リンパ性白血病と診断されて、入院。「千羽鶴を折れば、願いが届く」と祈りながら薬包紙や見舞い品の包装紙で、鶴を折り始めましたが、願いむなしく12歳で人生を閉じました。

原爆の子の像は、彼女の同級生8人によるビラ配りから始まり、やがて募金活動には全国の3000校以上の学校が協力して、実現したそうです。また、今はシアトルの平和公園にも銅像があります。

佐々木禎子さんの実話を元にした米国人作家エレノア・コアの著作「サダコと千羽鶴」が、米国の多くの小学校で副読本として読まれているそうです。前述の日経ビジネスの記事によると、今回、折り鶴に参加している米国人のほとんどが、サダコの物語を知っていたそうです。(Paper Cranes for Japanのサイトは、こちらです。)

私は、オバマ大統領が登場した頃、「核兵器のない世界」を訴えるニュースなどを見るたびに、とても冷めた気持ちでいました。原爆投下の加害者であるアメリカの大統領が、謝罪もなく、「戦争終結のために正しい処置だった」というスタンスを保っているかぎり、スタートラインにも立っていないのだと。まず、アメリカ政府が態度を改めることから始めなければならないのではないかと。

しかし、日本人である私が知らなかった原爆被害者サダコの物語が、多くのアメリカ人の心に刻み込まれ、今回の東日本大震災をきっかけにして、心が揺さぶられて、折り鶴へとつながっていったことを知り、「日本人だから被害者、アメリカ人だから加害者」というのも傲慢な考えだったと反省させられています。

なぜ、折り鶴なのか。それは、鶴を折るという行為の中に、12歳のサダコの「生きていたい」という気持ちが込められていたからです。12歳のサダコの行為を追体験する過程で、「生きていられることのありがたさ」を考え、生きる希望を失いかけているかもしれない苦難の中にある人たちに「生きていて欲しい」という気持ちを伝えるためです。

下のビデオは、佐々木禎子さんの甥であるシンガーソングライター佐々木祐滋さんが、禎子さんを歌った「INORI」です。佐々木祐滋さんは、この歌について、次のように語っています

「INORI」という曲は叔母である禎子の想いを綴った曲ではありますが、それは過去の遺恨を引きずったり責めるために作った訳では決してありません。禎子が歩んだ12年の生涯を通じて、一つしかない命の大切さ、生きていられることのありがたさを純粋に伝えるために作ったので、この曲には特別なイデオロギーは全く無いのです。

生きていることのありがたさに感謝をしていない者が、偉そうなことを言えるのか。スタートラインは、日本人であろうが外国人であろうが「生きていられることのありがたさ」に感謝することではないかと思っています。

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カテゴリー: いろいろしてみた!

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トラックバック・ピンバック

  1. プロジェクト「1000smiles」 | 森の虎じろう - 2011年6月20日

    […] 千羽鶴の由来については、拙稿「折り鶴に込められた祈り」にも書きましたが、広島で被爆し、12歳で人生を閉じた佐々木禎子さんが「千羽鶴を折れば、願いが届く」と病院の薬包紙や見舞い品の包装紙で、鶴を折り始めたことから、(特に外国で)大きく知られるようになったそうです。 […]

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