クックパッド2011

料理レシピのサイトは、たくさんありますが、一番有名なのはクックパッドです。クックパッドのいいところは、じっくり手間暇をかける料理レシピもあれば、手抜き5分クッキングのレシピもあり、「自分向き」レシピ作者をチェックしておけば、自分向きオーダーメイドなレシピサイトになるところでしょうか。そのように、いつも利用しているクックパッドですが、じつは凄い企業だと思っています。
私は会計実務経験があるので、少しは企業決算書を読むことができます。ブログに書く話題が枯渇していることもあり(笑)、ちょっと財務面から、ちらっと、クックパッドを見てみます。

まず、驚くのは、売上総利益率の高さ。というか、売上原価は、ほとんどなし(システム外注費のみ)。クックパッドはIT投資に金をかけている企業だという印象があるので、「じゃあ、販管費に含まれているのかな」と思いましたが、販管費中のシステム関連費用は、直近1年でも1億円ぐらいです。全部、人件費として処理されているようです。これは、重要なことで、システム開発の人件費が、無形固定資産として資産計上されてしまうと、将来の利益を圧迫するのです。前期の販管費は、年度末の広告費1億円で膨らんでいるだけで、人件費の伸びもさしたるものではありません。
同じようにウエブのサービスを提供していても、システム投資に金を湯水のように注ぎ込んでいる企業もありますが、この部分だけ見ても、効率のいい企業だなと思います。

収益については、食品企業からのマーケッティング事業収入は安定しており(急成長していない)、もう少し何とかならないかなとは思います。売上高の伸びは、もっぱら会員事業(有料会員)によるものです。私はクックパッドはよく利用しますが、有料会員になろうとは思わないですね(あまり無料会員とサービスに差がない)。あえてお金を払って有料会員になろうとする人の気持ちはわからないです。パソコンの場合はクレジットカード情報を入れるのに抵抗はありますが、スマートフォンの場合には、あまり抵抗感がないようです(電話料金などに既に支払い情報を提供してしまっているので)。そのへんがうまく、作用しているのかなと思いますが、いつまでも、会員数の伸びが続くとは思えないです。事業面での課題です。

それはともかく、売上高の伸びが、最終利益の伸びにダイレクトに反映されており、ここまでは財務的に素晴らしいクックパッドですが、 ROE (純資産利益率)は急降下しています(とはいえ高い)。理由は簡単で、儲かった利益が現金として使い道もなく滞留しているのです。
年間費用(支出もほぼ同額)が16億円なのに、普通預金に30億円もあります。新興企業というより老舗優良企業のようです。PBR(純資産倍率)が7倍ぐらいあるので、自社株買いも手がけにくいですね。投資すべき新規事業の開拓が、財務面での課題なのかなと思います。

ここまでが、一般的な分析ですが、私は会計実務経験者なので、都合の悪い数字をどうやって隠すか(笑)についても、経験上、いくつかポイントを知っています。あれこれ見た中で気になったのは「売掛金」です。

過去3ヶ月の売上高を、売掛金(貸借対照表)で割り算すると、売掛金が何日分の売り上げに相当するかがわかります。季節的要因もあるでしょうから前年同時期と比較します。すると、前々期末は65日分なのに対して、前期末は81日分。これは増えすぎです。よくありますよね、売上高不足を隠すために、年度末をすぎて次の期に売り上げた分も、強引に前年度末に繰り入れてしまったり。この反動は、次の期に出てきます(次の期の売り上げを前期に入れてしまったのですから当然です)。これで、売上高は化粧することはできますが、現金は増えていないため、売掛金が膨れあがってしまうのです。
そこで確認のために、有価証券報告書で「売掛金」の主要相手先と金額を確認します。NTTドコモ、KDDI等々、相手方に問題はなさそうです。会員事業の比率が増えて、(支払いサイクルの長い)携帯電話会社の取引比率が高まったことが原因なんだろうと推定できました。懸念解消です。

こういう風に、財務担当者が隠そうとしている事実を、見抜いてやろうという目で決算書のあら探しを始めると、けっこう、決算書分析は楽しくなります。

あとは、総じて良好。

(注)私には事業のことはわかりません。もっぱら財務に関心は集中しており、株式投資など儲かる情報はほとんどありませんので、あしからず。

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カテゴリー: 数字あそびしてみた!

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