内部留保を賃金上昇に回せ、だとか

選挙のテレビ討論会で、共産党がやたら「内部留保を賃金上昇に回せ」と主張していると思っていたら、最近は、他の野党も言い始めました。与党も反論することなく受け流しているので、共産党のホームページで調べてみることにしました。

その前に結論から書くと、
「この人たち、経済の初歩的基礎すらわかってなくて、話しにならないね」ということです。あとで書きますが根拠の数字がでたらめ。理屈もでたらめ。

私は別に、「企業は株主が絶対だ」という考えではありません。従業員、客、経営者、株主、それぞれがwin-winになる調和点を目指すものだと思います。
でもね、
内部留保って、100%株主のものでしょう?

そもそも、株式会社とは、出資者(株主)から預かったお金を元手にして、事業をして、決算をし、その収益から、従業員の賃金などの費用を出し、税金を払って、その残りは、配当として株主に分配するものです。

でも、100%を配当をしてしまうと、事業拡大の資金に困るし、出資してもらったり分配したりの度に税金を払うのも無駄なので、100%を配当せずに、手元に残しておくのが内部留保です。
出資者からしても、全てを配当してもらっても、また、次の年には出資することになるだろうし、じゃあ、100%配当せずに有効に使って将来のリターンを増やしてよ、ということです。

株主からあずかっているお金を、従業員にあげるなんて、ありえません。そんなことが本気で国の政策となる可能性が出てくれば、株主は当然、総会で100%配当を主張することになるでしょう。

まあ、そういう「あるべき論」を別にしても、なぜ賃金が上がらないのか・・・もっと安い賃金で働いてくれる人たちがアジア諸国に大量にいることと、化石エネルギー価格の長期的上昇が原因です。
日本国内の賃金が下がり続けているのは、アジア新興国で、もっと安い労働力が手に入るからであって、国内の賃金を上げることを強要されれば、国際的な競争に勝てず、ますます空洞化が進むだけだし、
円安になれば、そのことについては一息つけるかもしれませんが、円安には化石エネルギー輸入価格の上昇による費用増という問題もあり、結局、相殺されてしまって円安誘導だけでは解決にはなりません。
というか、日本の化石燃料の輸入額(石油、石炭、LNG)は、1990年の約7兆円から2012年には約23兆円に増えています。エネルギー価格の上昇は、資源のない国をじわじわと締め付けており、現在、日本の消費税は1%で2兆円ぐらいだから、国民全体で見ると、この期間に7%の消費税増税があったようなものです。

どちらに転ぼうがつらいわけで、結局、みんなが豊かになる方法は、拙稿「経済成長と景気振興は相反する」で書いたとおりで、シンプルな方法「一人あたりの生産性向上」しか、解決策はありません

こちらのお金をあちらに動かせば解決するようなことは政策に値するものではなく、国ができることは、生産性を阻害している要因を取り除くこと・・・規制撤廃を中心として・・・そのなかには、雇用規制の緩和も含まれます。それは、弱者切り捨てではなく、長い目で見れば、弱者にとってこそやさしい政策だと思うんですが。例えば、解雇規制が厳しすぎることが、正社員化が進まない最大の要因ですし。

ただ、賃金上げについては、与党も、「経済界に要請」みたいなことをしているので、五十歩百歩です。与党も野党も経済の摂理を無視しています。

景気拡大 → 人手不足 → 労働者側の売り手市場

みたいな手順を取らないと、どこかで無理が出るんじゃないでしょうか。

さて、共産党の主張は、このページです。

「大企業の内部留保 1年で10兆円超増」

日本共産党は、2月に発表した「賃上げ・雇用アピール」で、「大企業の8割は、内部留保1%の活用で『月1万円』の賃上げが可能」という試算を示しました。今回の集計結果では、内部留保を増やした大企業の多くは、既存の内部留保を取り崩すまでもなく、増加分の数%程度を回すだけでも、「月1万円」の賃上げが可能だということが明らかになりました。(略)
たとえば、トヨタの場合、連結子会社を含む国内従業員(非正規を含む)は23・5万人ですから、「月1万円」には年283億円が必要ですが、これは、増えた内部留保のうち、わずか3・4%にすぎません。

「内部留保の活用で賃上げを」の世論をいっそう高めていくことが重要です。

基本的な間違いをしている感じがプンプンします。

たとえば、トヨタ自動車の場合、もともと約13・2兆円あった内部留保が1年間で8300億円も増加し、14兆円を突破しました。

13.2兆円の内部留保って、何?

そこで、トヨタ自動車のホームページから連結財務諸表を見てみると、
株主資本合計でも12兆1480億円。あれあれ。ありえない。

間違いなく、複式簿記を理解していないことは確実だなと、わかりました。

せめて経済討論するのであれば、初歩知識ぐらい勉強してよね、と思ったのでした。

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