タグアーカイブ: 生物多様性

尖閣諸島と生物多様性

今週、新聞の片隅に載った記事に、私の目がとまりました。そこで、ネットで調査開始。その記事とは、アルピニストの野口健さんたちが「センカクモグラを守る会」を設立したというニュースでした。センカクモグラって、何?

以下は、野口健さんのサイトからの引用です。

尖閣諸島は、南西諸島西表島の北方に位置する島嶼群であり、行政区域としては沖縄県石垣市に属している。魚釣島、北小島、南小島、久場島(黄尾礁)、大正島(赤尾礁)の 5つの島嶼とおよび岩礁から成り立っている。尖閣諸島には、センカクモグラをはじめ、センカクサワガニ、センカクツツジ等、多くの固有種が確認されている。
しかし現在、これらの生物の絶滅の危機が指摘されている。一例をあげれば、センカクモグラは、日本哺乳類学会により、危急種に指定され、またいずれも環境省および沖縄県のレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物「動植物」のリスト)では最も絶滅のおそれの高い絶滅危惧 IA 類に指定されている。
これは、尖閣諸島の中でも最大の面積を持つ魚釣島において、1978 年に、我が国の民間政治団体によって意図的に放逐されたヤギが数百頭にまで増殖したことにより、生態系に大きな影響を及ぼしているためである。

なんと、尖閣諸島は、そんなことになっていたのですか。

尖閣諸島に関しては、領有権に関する問題により、現状把握の調査自体がほとんど行われていない。2000年、2006年などに撮影された人工衛星の画像では島の表面積の10~20%がヤギの影響で裸地化しているのが確認され、2002年の航空写真ではいくつかの植物群落の消滅が確認されている。日本哺乳類学会は2002 年度大会において「尖閣諸島魚釣島の野生化ヤギの対策を求める要望書」を採択し、環境省、外務省、沖縄県および石垣市に提出した。その翌年、日本生態学会および沖縄生物学会も同様の要望書を採択し、環境省などに提出している。また、2001年には国会議員から日本政府に対して政府の認識をただし、ヤギの除去の意思を問う質問趣意書が提出されているが、いずれも政府の見解は消極的であった。(略)このような状況において、専門家による上陸調査を実施し、最終的に魚釣島のヤギを取り除くことが喫緊の課題である。

さらに具体的には、論文「尖閣諸島魚釣島の生物相と野生化ヤギ問題(横畑泰志富山大学準教授ほか)」が詳しいです。魚釣島にヤギが導入されたのは 1978 年で、日本の民間政治団体によって雌 雄各 1 頭が与那国島から持ち込まれ故意に放逐されたそうです。導入の目的は同時 に行われた「灯台」の設置とともに,「領有 権の主張のための既成事実づくり」とのこと。

許せない。私は、尖閣諸島は我が国固有の領土である以上、主張すべきことは当然に主張すべきであると思います。しかし、やっていいことと、悪いことがあるのではないでしょうか。

そもそも、「保守」とは、伝統を重んじ、先人たちの知恵と経験に学び、有形無形の文化と共に、先人から受け継いだ日本の国の四季折々の豊かな自然を大切に守り、後の世代に受け継いでいく、という思想なのではないでしょうか。こういう、「破壊型活動家」は、保守派とは認めるわけにはいきません。ただの極右であり、振り回し弄ぶ思想こそ違え、左翼と同じ輩です。保守人では、けっしてありません。

それはともかく、国は、野口さんたちに、尖閣諸島に上陸して、自然調査活動をおこなうことを認めてはどうでしょうか。きな臭い政治活動でないことが、世界の誰から見ても明らかであり、しっかりとした大義名分があるのに、中国におもねる必要があるのでしょうか。

 

広告

ゴーヤと蜜蜂

この1週間、風邪でぐずついており、今日も、自宅静養になりそうです。鼻がぐすぐすが治まりかけてきたものの、次は、喉がひりひり。で、我が家のベランダにふと目をやると、蜜蜂の集団(10匹弱)が。そういえば、小学校の頃に習いました。蜜蜂は、花を見つけると巣に戻り、ダンスをして、そのことを伝えて、集団で戻ってくるんでしたね。

写真を撮ろうと試みましたが、接写のピンぼけの続出。さらに、ゴーヤの花は日光側で咲いており、逆光です。部屋の方からは、花の裏面しか見えません。蜜蜂は激しく動き回ります。なかなかベストショットとはいきません。どうにか撮れたのが、上の1枚(不自然なほど明るい黄緑ですが、色の加工はしていません)。西洋蜜蜂です。

西洋蜜蜂は、天敵スズメバチがいない西洋で育ってきたので、日本蜜蜂と違って、スズメバチに対処するすべを知りません。ゆえに、日本の天然自然界では生きていけないのです。その点、スズメバチが少ない都会は、オアシスなのです。

よく観察してみると黄色くて、丸々太って、カワイイです。そういえば、これまで自宅にやってきた蜂と言えば、憎たらしそうな外観の蜂ばかりでした。当然、早く出て行ってくれとばかり、追い出していました。蜜蜂は(賢いのか)家の中まで入ってきたことはありません。

我が家のベランダのゴーヤは、下の写真のとおり、今年も豊作でしたが、当然のことながら蜜蜂がいなければ受粉もされず実はつきません。しかし、いつのまにか、実ができるのを当然のことのように思っていました。いろんな生物が支え合い、今、生きている。それが、生物多様性の原点ですけど、あらためて、実感しました。

それにしても、ゴーヤの蜂蜜って、どんな味がするんでしょうね。

さて、冒頭に書きましたが、風邪で、喉がひりひりしています。蜂蜜をお湯で溶かして、レモネードでも作ろう。

サリム氏のインタビューより

今年10月に名古屋で、生物多様性条約第10回締結国会議が開かれます。そのこともあって、最近、そのあたりの記事も増えてきましたが、今日の日経新聞朝刊で、インドネシア大統領検討会議サリム氏のインタビュー「生態系保全と経済どう両立」が載せられていました。サリム氏は、環境分野で国際的にも著名なリーダーとのことです。

――地球上で1400万種と推計される生物の多様性はなぜ重要なのでしょう。

「自然は生物の相互依存で成り立っており、その基本になるのが生物多様性だ。生物が多様なほど生態系は安定する。20世紀には経済効率を中心とした開発が進み、生物多様性を無視した工業生産が続いた。しかし、環境破壊は人類の生存を脅かす水準にまで至ってきた」

そのとおりですね。

――環境保護を重視すれば、経済発展が進まないとの意見は根強いです。

「インドネシアは従来、森林を伐採して木材のまま輸出してきたが、経済発展のためには改めねばならない。樹皮や木の実を効率的に利用することを考えればよい。インドネシアで育つマツの一種からはがん患者用の薬や化粧品、食品などの原料がとれる」

「インドネシアの森林地帯に数多く生息するヒルは、分泌液に人間の血液をさらさらにする効果があり、脳卒中や心臓発作の薬に使える成分を含んでいる。森林を伐採せずにヒルを保護すれば、より高い価値を生み出す。深海に住むサメの肝油からは肌にはりを与える効果があるとされ、化粧品の原料になるスクアレンという物質もとれる」

これは面白い話です。

――生物多様性と経済発展を両立させる手段はあるのですね。

「カギを握るのが、天然資源に付加価値をつける科学技術だ。サメの肝油は高い技術で(有用な成分を抽出すれば)価格が100倍にもなる。現在は(貧しい人たちが収入増のため)自然を傷付けて木材やサメの肝油を大量に輸出しているが、技術を使って効率的に価値を高める開発手法へと変えれば、環境破壊を抑えることができる」

まったく、そのとおりだと思います。

確かに、「経済成長」と「環境保護」が相反するという考えは、完全に間違っています。下記の図は、この20年間の地域別森林の増減です。先進国よりも発展途上国の方が、環境破壊が進んでいることは、明らかです。

技術革新が進めば資源を以前より有効に活用することができるようになります。当然、資源浪費が少なくなり、環境に優しくなります。技術革新には、経済成長は欠かせません。「経済成長」は「環境保護」を後押しするのです。

また、経済成長を止めて昔に戻れば環境に優しい、などという考えは非現実的で、実現不可能です。

もちろん、「浪費」は「環境破壊」につながります。「経済成長」イコール「環境に優しくない」という考え方は、「浪費」であってもよい論、「消費」即「経済成長」といった需要サイドの経済学者の悪しき影響だと思います。供給サイドからみれば、「浪費」は資源の非効率活用であり悪です。

――その実現には何が必要ですか。

「先進国から途上国への技術移転が欠かせない。故大来佐武郎博士(元外相)らが広めた『雁行(がんこう)型経済発展論』では、日本が発展の先頭に立ち、アジア諸国が協力しながら地域全体が経済発展していく。域内各国が相互に依存する関係が重要だという考え方だ」

「日本は技術を囲い込むのではなく、(環境分野でも)技術移転を進めてアジア全体の発展を後押しすべきだ。(略)」

――企業が生物多様性の保全や利用で果たす役割をどう考えますか。

「企業は途上国から木材を輸入するだけでなく、技術革新によって葉や樹皮などの利用法を考え、付加価値を探ればよい。」

はい。そのとおりですが、

「途上国に技術移転すれば国際競争に敗れると考えるのはおかしい。日本には非常に高度な研究施設があり、環境技術の水準も高い。ソニーの携帯オーディオプレーヤー『ウォークマン』で分かるように、日本は技術を進化させる十分な力を持っている」

おやおや、このあたりから話がおかしくなってきたような気がします。途上国のリーダーはいつも、こういう論なのですが。

環境破壊とは、長期的視点からの資源の非効率活用の問題です。企業は経済的合理性に基づいて行動しています。経済的合理性からすれば、資源の有効活用は必須です(まあ、企業は、短期の結果を求めるという欠点はありますが)

企業は何も、国に縛り付けられているわけではありません。日本国が、企業に対して「日本を出て行き、別の国で活動をしなさい」と命令できるはずもありません。これは、企業というより、社会とか国の問題だと思います。

受け入れる側の発展途上国の社会や国の仕組みが変わらなければ、何のよい結果も生まないと思います。仮に、強制的に技術移転だけ発展途上国におこなっても、うまく機能するとはとても思えません。会議で正義を訴える前に、まず、なぜ企業が来てくれないのか。企業が来てくれるのにはどうすればいいのか。を考えるべきではないでしょうか。